賢者の老後は安泰とは限らない?
賢者のあなたは老後の生活設計ができていますか?
あなたは老後の設計はできていますか?具体的には老後に生活していく上でのお金をどうするのかをじっくり考えたことがあるでしょうか?
一般企業にお勤めの方がよく老後資金の原資と考えるのは①退職金②公的年金③企業年金④私的年金(積立)です。一般企業に勤務される方には、基本的に退職金があり、これに国からの公的年金が支給され、企業によっては企業年金も支給される場合があります。ただこれでも老後に生活していくには不十分と言われますが、医師の場合はどうでしょうか?
勤務医には退職金はあまり期待できません。公的年金は支給されますが、企業年金などまずあてにできないでしょう。となると老後に期待できるのは結果的に「公的年金」のみということが想定できます。
開業医はどうかというと、勿論退職金は自分で作らないといけません。「公的年金」は支給されますが、企業年金などもありません。
結局、確実に想定できる老後の資金は医師の場合には「公的年金のみ」ということが言えるでしょう。
賢者は老後の生活で年金をあてにしない?
では賢者は老後の年金がどれくらいもらえると思いますか?
「勤務医で年収は高めなので、きっと一般の人よりも多くもらえるはず」と思っておられる賢者の方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げると…一般の方と、さほど変わりません。
当然ながら賢者も公的年金に加入します。ただし、勤務医か開業医かで加入する年金が異なります。勤務医の場合は、国民全員が加入する国民年金と、各々が勤務先で加入する厚生年金(以前は共済年金か厚生年金)に加入し、開業医の場合には国民年金にのみ加入することになります。
では両者に共通するこの国民年金ですが、一体いくら支給されるのでしょうか?
平成29年度の国民年金(老齢基礎年金)は月額約65,000円、年間合計約78万円が支給されることになっています。夫婦2人なら月額約130,000円、年間合計約156万円という金額です。これが老後の生活資金のベースとなるのです。
上述の通り、勤務医の場合にはこれに厚生年金が加算されます。厚生年金には「報酬比例部分がある」ということを御存知の方も多いと思いますが、同時にこれには上限も設定されているため、どんなに収入の多い賢者でも、理論上は月額約250,000円、年間合計約300万円が最高支給額と言われています。つまり両者合計でも年間最大約378万円。(これは保険料を40年間ほぼ満額最高額で支払ったケースですので、実際にはこの金額以下の方々がほとんどです)
ちなみに厚労省では夫婦2人のモデルの想定支給額を公開しています。40年間サラリーマンとして働いた夫と、ずっと専業主婦だった妻との組み合わせが想定です。この場合、厚生年金が貰える男性と、国民年金だけの女性となり、支給金額は月額221,277円、年間約265万円と試算されています。これが日本の平均的な年金支給の実態であり、故に老後に不安を持つ人が多いのです。これに関しては賢者も他人事ではありませんね。
定年後は退職時期を延ばす?それとも非常勤で働く?
賢者のライフプランは様々です。老後をどのように過ごすかという考えは人により大きく異なります。しかし共通するのは『老後の生活資金』の問題です。なぜなら今、老後夫婦2人で生活するのには最低でも月25万円といわれますが、多くの方が公的年金だけではこの25万円のラインを越えられないからです。これは医師にも共通する課題です。
この現実を踏まえた上で賢者の方々は老後プランを計画していくべきでしょう。
定年年齢はいくつなのか、引退をいつにするのか、その後非常勤で賢者として働くのか、または老後資金をしっかり貯め早期退職(アーリーリタイヤメント)を目指すのか、それとも開業し生涯現役で通すのか…
いずれにせよ、老後を考える上で、まずはこういった現実を賢者の方々は認識しておくことが必要です。
定年後の賢者の再就職を考える
開業医の場合にはそもそも生涯現役を通す方も多いことから、「定年」という概念自体が無いかもしれません。しかし勤務医の場合にはこれが当てはまりません。また多くの病院では退職金制度があまり整っていないのが現状ですので、退職金には過度な期待はできないでしょう。その場合、老後にどういった収入を得ていくのか…または、老後資金をいかに蓄えていくのか…
賢者の場合は退職後も各アルバイトや地方病院への再就職ニーズが今後もまだまだ存在していくものと思われますので、ある程度の収入は確保できるかもしれません。しかしこれは将来のことであり、確実なことは読めません。そうなるとやはり計画的な老後資金の準備が必要になるでしょう。誰しも退職した後も生活費の為に余裕のない働き方はしたくないものです。そのためにはご自身の頭の中で、計算されたマネープランを設計しておくことが賢者の定年後や老後を考える際に重要になります。
株式会社VIDA MIA 代表取締役 大西宏明
保険やオペレーティング・リース、国内外の株式・債券・投資信託など多岐に渡った金融商品を活用しながら相続・事業承継対策スキームを策定し、専門家の税理士や弁護士とも提携して遺言の作成および民事信託(遺言代用信託)の提案も行なう。
特定の金融機関には属さず、近畿圏を軸に国内で幅広くワンストップ型の独立系総合金融コンサルティングを展開中。
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